ゲイリー・ハメルの「経営は何をすべきか -生き残るための5つの課題-」を読みました。
今月号のハーバード・ビジネス・レビューで番宣じゃなくて、本宣の記事のあったゲイリー・ハメルの最新刊です。
サブタイトルの(自分が属する組織の今後の命運を決定づける、根本的な)5つの課題とは、
・理念
・イノベーション
・適応力
・情熱
・イデオロギー
です。
この5つの単語だけを書くと、月並みなのでピンときませんが、ドラッカーに続く経営思想家と言われているだけあって、名言というか蘊蓄が「これでもか」と言うぐらい詰まっています。
以下の前提は特に有害
1 企業の至上命題は利益を上げることである。
2 企業リーダーの責任範囲は、自分たちの行動による直接の
影響だけに限定されるべきである。
3 経営者は、短期的な利益をもとに報奨を与えられるべきで
ある。
4 企業が社会の信用を得るには、もっともらしい社是、環境に
優しい製品、多大なCSR予算が役に立つ。
5 なぜ「善行」をするかといえば、主に会社の繁栄に寄与する
からである。
6 顧客は、製品の製造や販売に際してどのような理念が尊重
あるいは軽視されているかよりも、価格対効果のほうに圧倒的
に関心がある。
7 顧客とは自社のサービスを購入する人々である。
8 顧客を囲い込み、製品の利点を誇張したり、顧客の選択肢を
狭めたりすることによって利益を上げるのが合理的である。
9 破壊的技術に対抗したり、新規参入者を排除したりするために、
市場での立場や政治的な影響力を使ってもかまわない。
10 企業の「ブランド」とは、広告費を使ってでっち上げたマーケ
ティング上の虚構である。
いまだに多くの企業では昔ながらの慢心がはびこっている。いま重要なのは、それを変えることである。
適応力の高い企業は新しい顧客ニーズに積極的に対応する。顧客経験をよい方向に変えようと率先して動くのだ。すると、顧客の忠誠心が高まり利益率が向上する。
今日のマネジャーにとって最も大切な仕事は、卓越した貢献を引き出し、情熱、想像力、主体性を使う価値のある職場環境を生み出すことである。
社員の熱意を高めたいなら、まずは、「社員に本来の情熱、感動、興奮が見られないなら、それは彼らがダメなのではなく、マネジャーの失態である」と認めなくてはならないのである。
たいていの組織は管理過多に陥っている。なぜなら管理は歯止め装置のように働くからだ。マネジャーには、ルールを廃止するのではなく設けようとするインセンティブがある。ルールが増えれば管理すべき対象も増え、権限が大きくなる一方、自分が仕事を失う心配は小さくなる。歳月を経るにつれてルールや規則はどんどん積み上がっていく。
管理主義者のせいで損なわれるのは情熱と主体性だけではない。適応力と革新性の削がれてしまうのである。
たいていの組織では、上級マネジャーは部下の判断の妥当性を吟味するが、その逆はほとんど起きない。建前上は取締役会が幹部による判断を精査する責務を負うが、大多数の取締役会は、重大な判断ミスが明らかになった場合は別として、どちらかというと迎合的である。
他にもピックアップしたところがたくさんありましたが、たくさんあり過ぎて書ききれませーん。
前作の横でクルクル回っている「経営の未来」もよかったですが、この本も面白いです。
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