高橋俊介先生の「人が育つ会社をつくる -キャリア創造のマネジメント-」を読みました。
キャリアはあまり興味のある分野ではありませんが、この本の前半は、皮肉っぽいというか、警鐘を鳴らしているというか、とても面白いです。
中国の大学生の就職先として、日本企業はあまり人気がない。(中略)日本企業は人材育成に不熱心であると多くの中国の大学生が思っていることが、最大の原因だという。
部下に向かって「おまえら、もっと勉強しろ」と檄を飛ばしている部長や役員が、じつは会社のなかでいちばん勉強不足だったりする。
日本のホワイトカラーは、先進主要国のなかで飛びぬけて、自己啓発に時間とお金を投資しないとしばしは指摘される。(中略)やはりいちばん大きいのは、上下序列による指導スタイルが、自分で勉強する自己啓発となじみにくいからだろう。
中間管理職には「部下にコーチングしろ」といっておきながら、トップや役員が中間管理職におこなうマネジメントは、旧態依然とした管理的なスタイルのままというケース。
モトローラとルノーに直接出向いて、どのように人材育成に取り組んでいるかを調査してきた。その結果、両社とも、社長から新入社員まで含めた全社員の年間研修参加時間は、ほぼ四〇時間ということであった。日本ではまず考えられない時間の長さだが、欧米ではごく平均的な時間だという。
専門職以上に成長実感がが高いのが、意外にも営業職だ。しかしながら営業というと、いまだに昔ながらのイケイケどんどんのイメージが強く、つぶしがきかないと思われているのか、学生の就職希望職としての人気はもっとも低い。
間に、いくつかケースを紹介していて、最後にはまとめてくれています。
よいキャリアの条件
1.日々の仕事で動機を活用している
2.自分の仕事の意味づけ
3.中長期的成長実感
4.人生全体の充実とバランス
多様な成長に向けて組織がすべきこと
1.人材育成の仕組みの変革
2.組織編成、職務設計の変革
3.個人のキャリアコンピタンシ―の強化
4.健全なビジネスモデルと成果プレッシャー
健全なキャリア自律概念の四つの特徴
1.外的キャリア評価ではなく、内的キャリア評価を重視する
2.ジョブマッチングではなく、キャリアコンピタンシ―を重視する
3.キャリアは管理できない-日ごろから布石を打つ
4.常に最適な働き方を求めるのではなく、フェーズで考える
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