ティック・ナット・ハンの「微笑みを生きる」を読みました。
今年読んだ本の中で一番です。
気づき(マインドフルネス)と瞑想がテーマになっています。
呼吸を意識することによって、今この瞬間に起こっていることに集中して「気づく」ことです。
腹が立った時の瞑想は、とても参考になりますので、引用しますと、
息を吸って怒りがここにあると気づく
息を吐いて怒りは私だと気づく
息を吸って怒りは不快なものだと気づく
息を吐いて怒りはとおりすぎてゆくものだと気づく
息を吸って私はしずか
息を吐いて私はこの怒りを毅然として迎える
怒りは自分自身の無知のために起こることもあるし、不快な事態を引き起こした直接的、かつ、その背後にある根深い原因を十分理解していないために起こることもあります。しかし、もっとも大きな根は、自分自身のなかにあります。外部の条件や他人は二次的な原因にすぎません。私たちは、地震や大洪水のような天災はあまり苦しまずに受け入れるのですが、だれかほかの人があなたに危害を及ぼすと、すっかり忍耐することを忘れてしまいます。地震や洪水に原因があることは、だれでも知っているのだから、私たちの怒りに関わりを持った人にも、それなりの潜在的、顕在的理由があることに気づくべきです。
とも言っています。
どこをとっても興味深い内容ですが、もう一つだけ、「ティエプ・ヒエン(インタービーイング・相互共存)教団の一四章」を引用します。
一 いかなる教義、理論、イデオロギーに対しても盲目的
心酔を避け、また束縛されない。いかなる思想も一手段
であって、絶対的真実ではない。
二 現在の知識が絶対不変の真実だと考えない。狭量を
避け、現在のものの見方に縛られない。こころを
ひらいて他人の考えを受け入れるために、無執着を学び
修する。真実は概念化された知識のなかではなく、
生活のなかに見いだされる。つねに自己および世界の
現実を生活全体をとおして観察し学ぶ。
三 権威、恐喝、金銭、宣伝、教育等のいかなる手段を
用いても、自己の考えを他人(子どもを含めて)に
強要しない。ただし、他人の盲信、狭量をいさめる
ときには、まごころを尽くして対話する。
四 この世の悲惨に直面するのを拒んだり、それから
目をそらしたりしない。この世界に現存する苦しみに
深く気づき、苦しむ人とともにあるために、面接、
訪問、映像や録音などのあらゆる手段を駆使して、
苦しみを分かち合う努力をする。このような手段に
よって、世界の苦しみの現実に自他ともに目ざめる。
五 何百万の人が飢えているのに、私的な富を蓄積
しない。名誉、利潤、富、肉体的快楽を人生の目的に
しない。簡素な暮らしをし、時間、労力、物質を、
助けを必要とする人々と分かち合う。
六 怒りや憎しみをいだきつづけない。怒りや憎しみの
種が意識の深層に根づく前に気づいて、すばやく変容
させる。怒りや憎しみに気づいたら、すぐに呼吸に戻り、
自分の怒りや憎しみの性質や、それを引き起こした人の
心境を見きわめ、理解しようと努める。
七 散漫になったり周囲に流されて自分を見失わない。
気づきの呼吸を行ない、いま、ここに戻る。自己の
内外の不思議、生気をよみがえらせてくれるもの、
癒しの力に触れる。こころに喜びと平和と理解の種を
播いて、意識の深層の変容作用を容易ならしめる。
八 不和を生じて共同体の分裂を引き起こす言葉を慎む。
どんなに小さないさかいや対立も調停解決する努力を
惜しまない。
九 個人的利益や自己顕示欲のために真実でない発言を
することを慎む。分裂や憎悪を引き起こす言葉を使わ
ない。不確かなニュースをひろめたり、確信の持てない
事柄を非難、批判しない。つねに建設的に真実を語る。
自分の身の安全が脅かされても、不正には堂々と勇気を
持って立ちむかう。
一〇 宗教団体を個人的利益のために利用したり、政治
集団に変えたりしない。しかし宗教団体は抑圧や
不正には断固として立ちむかい、党派間の抗争に
関わることなく、状況の改善に努力する。
一一 人間や自然に害をもたらす職業で生計を立てない。
人の生存権を脅かす会社組織に投資しない。慈愛を
理想とする社会の実現を可能にする職業を選ぶ。
一二 みずから殺さず、また人に殺させない。いのちを
守り、戦争を避けるための可能な手段はすべて試みる。
一三 他人のものをいっさい所有しない。他人の所有物を
尊重するが、人が他者を苦しめたり、他の生きものを
犠牲にして財を築かないように助言する。
一四 自分の体を苦しめないで大切に扱う。自分の体を
単なる道具と見なさず、みずからの生命エネルギーを
真理実現のために使う。愛と責任のない性愛を慎み、
性交渉においては、それによって将来引き起こされる
かもしれない苦しみについて気づき自覚する。他人の
幸福を守るために、他人の権利や約束を尊重する。
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