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2011/05/01

マネージャーの実像

ヘンリー・ミンツバーグの「マネージャーの実像 -「管理職」はなぜ仕事に追われているのか-」を読みました。





ミンツバーグおもしろい。

歯に衣着せない書きっぷりで、(まじめな本なのですが)吹き出してしまう箇所がたくさんありました。


この本は、29人のマネージャーに密着取材して書かれたものです。トップマネジメントから現場マネージャーまで、いろんなマネージャーに密着しています。



マネジメント(実践)は、アート(ビジョン:創造的発想)、クラフト(経験:現実にそくした学習)、サイエンス(分析:体系的データ)の三要素バランスが重要だと言っています。MBAだけのせいだとは思いませんが、サイエンス偏重に警鐘を鳴らしています。


マネージャーの仕事を理解するために、「スケール(マネジメントをする部署の規模)」と「スコープ(仕事の範囲)」という2つの視点をあげています。




マネジメントの13のジレンマ

思考のジレンマ
上っ面症候群
 どうすれば、目の前の仕事を片付けなくてはならないという強烈なプレッシャーのなかで、ものごとの理解を深められるのか。

計画の落とし穴
 多忙をきわめる仕事の場で、どうやって未来を見すえ、計画を立て、戦略を練り、ものを考えればいいのか。

分析の迷宮
 分析によって細かく分解された世界をどのように一つにまとめ上げればいいのか。

情報のジレンマ
現場と関わりの難題
 マネジメントという行為の性格上、マネジメントの対象から乖離することは避けがたい。そういう状況で、どうすれば現場の情報を途切れなく入手し続けられるのか。

権限委譲の板ばさみ
 関連する情報の多くが私的なもので、文書化されておらず、マネージャーの地位のおかげで入手できるものである場合、どのように権限委譲をおこなえばいいのか。

数値測定のミステリー
 数値測定に頼れないとき、どのようにマネジメントをおこなえばいいのか。

人間のジレンマ
秩序の謎
 マネジメントそのものがきわめて無秩序な活動であるなか、組織のメンバーの仕事に秩序をもたらすために、マネージャーはどのように振る舞えばいいのか。

コントロールのパラドックス
 自分より地位の高いマネージャーが秩序を押しつけてくるとき、マネージャーはどうやって、「統制された無秩序」を維持すればいいのか。

自信のわな
 傲慢への一線を越えることを避けつつ、適度の自信を保ち続けるためには、どのように振る舞えばいいのか。

行動のジレンマ
行動の曖昧さ
 ややこしくて、微妙な差異が大きな意味をもつ環境で、マネージャーはどのようにして決断力を発揮すればいいのか。

変化の不思議
 継続性を保つ必要がある状況で、どのようにして変化をマネジメントすればいいのか。

全体的なジレンマ
究極のジレンマ
 マネージャーはどのようにして、数々のジレンマに同時に対処すればいいのか。

私のジレンマ
 マネージャーが直面する数々のジレンマは、すべて個別に論じられる半面、どれも根は同じに見える。この点をどう説明すればいいのか。




有能なマネージャーに求めらる資質(著者がとくに重要と考える要素)

献身的姿勢
振り返りを重んじる姿勢
洞察力
人脈が豊かであること
思慮深さ
賢明さ
人々を鼓舞する力
愛嬌



振り返りのためのチェックリスト

 1.あなたは、どこから情報を得ているか。どのように情報を
   得ているか。情報入手のために、もっと人脈を上手に使え
   ないか。どうすれば、人々が情報を提供するよう促せるか。
   把握すべきテーマについて、しっかりした思考の型を確立
   できているか。

 2.あなたは、どのような情報を発信しているか。どうすれば、
   ほかの人たちにもっと情報を提供し、その人たちがもっと
   優れた決定をくだせるようにできるか。

 3.あなたは、情報を入手する前に行動する傾向が強いか。
   それとも、情報がすべてそろうまで待とうとするあまり、
   チャンスを逃す傾向が強いか。

 4.あなたは、所管の組織・部署に対し、どの程度のペースで
   変化することを要求しているか。変化を推し進めるペースは、
   ある程度の安定を保つ必要性とバランスが取れているか。

 5.あなたは、十分な情報をもとに、提案に対して的確な判断を
   くだせているか。提案に対する最終決定権の一部を他人に
   譲れるか。

 6.あなたは、所管の組織・部署をどうしたいのか。方針を
   明確に示して、メンバーが的確な決定をくだしやすいように
   すべきか。それとも、いつでも自分自身の判断で柔軟に
   方針を変更できる余地を残しておくべきか。

 7.あなたは、自分の行動やマネジメントスタイルが及ぼす影響に
   ついて、十分に意識しているか。励ましとプレッシャーの
   バランスを適度に取れているか。メンバーの主体的な活動の
   芽を摘んでいないか。

 8.あなたは、対外的関係に割く時間が多すぎないか。あるいは、
   少なすぎないか。もっと関係を深めるべき人物はいないか。

 9.あなたは、スケジュールを立てる際、そのときどきの要求に
   対処しているだけになっていないか。一日の特定の時間帯や
   週の特定の曜日に、なんらかのタイプの仕事を効率よくこなせる
   ということないか。

10.あなたは、働きすぎていないか。仕事の量が仕事の効率や
   家庭に悪影響を与えていないか。休息を取るなり、活動の
   ペースをゆるめるなりすべきではないか。

11.あなたは、上っ面だけの振る舞いをしすぎていないか。スケ
   ジュールどおりに、頻繁に素早く気持ちを切り替えられるか。
   仕事を細切れにしすぎていないか。仕事の中断を減らすべきで
   ないか。

12.あなたは、マネージャーの仕事に特有の活発な活動と興奮の
   とりこになっていないか。その結果、課題に腰をすえて取り組め
   なくなっていないか。書物を読んだり、じっくり問題を掘り下げて
   考えたりすることに、もっと時間を割くべきでないか。

13.あなたは、さまざまなメディアを適切に使いわけているか。文書に
   よるコミュニケーションと電子メールの利点をそれぞれ最大限
   活用できているか。電子メールのスピードに振り回されていない
   か。自分の目でものごとを見るために、十分に時間を割いている
   か。

14.あなたは、義務をこなすために時間をすべて食われていないか。
   どうすれば、時間を確保して、自分の意図する方向に組織・部署
   を導けるのか。どうすれば、課せられた義務を自分に有利な材料
   に転換できるのか。



気になったところがたくさんあったので、たくさん抜粋します。



マネージャーは、電話や会議や電子メールを終えて「仕事に戻る」のではない。こうしたコミュニケーションこそがマネージャーの仕事なのだ。


噂話や未確認情報の類いは、マネージャーが吸収する情報のかなりの割合を占めている。


マネージャーが電子メールの迅速さに頼るのはけっこうだが、コンピュータのモニターにいくつかの文字が映し出されるからといって、状況を把握していると履き違えてはいけない。


マネジメントとは、管理することであり、ものごとを実行することであり、考えることであり、リーダーシップを振るうことであり、意思決定をくだすことであり、それ以外のもろもろのすべての活動である。しかも、そうしたすべての要素の単なる総和ではなく、すべてが混ざり合ったものだ。


組織文化を築いたり、いったん確立された文化を変えたりするのは、ときとして簡単でない。そのためには長い年月がかかるし、どんなに時間をかけてもそれが不可能な場合すらある。その半面、文化を破壊するのはいとも簡単だ。マネージャーが怠惰だと、組織の文化はあっけなく壊れてしまう。


マネージャーには、自分で自分の仕事をつくり出すだけでなく、与えられた仕事をおこなうことが求められる。したがって、環境を度外視してマネジメントスタイルを論じることに意味がない。


組織にとって、マネージャーが暇をもてあますことほど、危険なことはない。


誰も買いたがらないような不人気商品しか製造していない会社のセールス部門のマネージャーに、何ができるだろう。こういうケースでは、マネージャーに非はない。


マネージャーが自分を重要人物だと思いすぎたり、組織の成功になんの貢献もしていない人間が新たにマネージャーに就任したりすると、その人物は過剰な自信をいただき、傲慢になりかねない。


優れたマネージャーのなかには、振り返りを重んじている人物がきわめて多かった。自分の経験から学び、さまざまな選択肢を検討し、ある選択肢がうまくいかなければ別の選択肢を試していたのだ。


優れたマネーシャーは、組織内の地位が高かろうと低かろうと、あるいは一見したところどんなに手足を縛られていようと、手持ちの自由を最大限活用して精力的に活動している。


マネージャーの選考は、資質を基準におこなうのではなく、欠点を基準におこなうべきだ。


マネジメントの質を大幅に高める処方箋があるとすれば、それは、マネージャーを内部昇格させる際に、候補者を最もよく知っている人たち、すなわち、その人物の部下に発言権を与えるというものだ。


マネージャーの仕事の質は、数値で測れない。人間の頭脳を使って判断する以外にない。


マネージャーが役割を果たすためには、ものごとをよく考える姿勢が欠かせない。必要なのは、特定のやり方を無条件に実践する姿勢でもなければ、私利私欲を満たすための巧妙な仕組みでもない。流行のマネジメント手法でもなく、みんなのまねをする戦略でもなく、空虚なリーダーシップ礼賛でもない。自分の頭で考えて、ものごとを判断するという、昔ながらの姿勢が大切なのだ。


ベーコンエッグをつくるために、ニワトリは「参加」しているが、ブタは文字どおり「献身」している。マネージャー育成のための活動は、マネジメントの対象に-マネージャーという職に、人々に、使命に、そして組織に、さらには社会に-ベーコンエッグのブタのようにどっぷり浸かったものであるべきだ。

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