中村香氏の「学習する組織とは何か -ピーター・センゲの学習論-」を読みました。
この本は、上でクルクル回っている「最強組織の法則」の著者ピーター・センゲの学習論を研究した博士論文を短くまとめた本です。
「最強組織の法則」の原著は1990年に発表され、タイトルは「The Fifth Discipline:The Art and Practice of the Learning Organization」です。
5つのディシプリンとは、「自己マスタリー」、「メンタル・モデル」、「共有ビジョン」、「チーム学習」、「システム思考」です。
この5つのディシプリンが以下の「7つの学習障害」の解毒剤になると言っています。
企業が抱える7つの学習障害
(1) 職務イコール自分
会社全体ではなく、自分の職務という小さい視点に
とらわれがち
(2) 敵は向こうに
物事がうまくいかないとき、その原因を自分ではなく、
他の部署や人を非難
(3) 積極策という幻想
「向こうの敵」と戦うために攻撃的になるのは、受け身に
反応しているということ
(4) 個々の出来事にとらわれる
短期的出来事に囚われていては、創造的学習は不可能
(5) ゆでられた蛙の寓話
緩やかな変化に目を向けないとゆでガエルと同じ運命
(6) 体験から学ぶという錯覚
長い間結果がでないものについては体験から学ぶことに
限界
(7) 経営チームの神話
個人の対面を汚すことを避け、結束したチームを装いがち
センゲが作ったSoL(組織学習協会)の行動理念、行動指針が興味深いので、抜粋します。
SoLコミュニティの行動理念
学習を志向する
すべての人は、生来、生涯を通じて学ぶ意志と能力を備えているのであり、すべての組織はその向上に寄与すべきである
社会的に学ぶ
人は、他者と学び合うときに、最も効果的に学ぶ。よって、いかなる職場においても、学習コミュニティへの参加は、その効果、福祉、幸福にきわめて重要である
学習コミュニティを育む
組織ができることと遂行できることは、その組織の育む学習コミュニティの能力とは切り離せず、むしろ、それ次第である
自然の摂理に従う
組織は、人の自然なあり方および自然界とのよりよい調和を図るために進化しなければならない
核となる学習能力を磨く
組織は個人および集合体としての、
1) 相互に絡み合う複雑な問題構造を理解する能力
2) 省察的、共創的なコミュニケーション能力
3) 個人および組織で共有する志を育む能力を開発しなくては
ならない
組織間で協働する
数多くの組織をつなぐ学習コミュニティは、個人および組織の深遠な変化を創る能力を飛躍的に高める
SoLコミュニティの行動指針
補完原則
ローカルに行えることはすべてローカルのレベルで決定、実行し、中央・上位のレベルでは補完的な役割のみを果たすこと
包含性
すべての討議と決定は、その影響を受けるすべての関係者を代表する人たちにより、適切に意見を反映できる方法で行うこと
共有責任
学習コミュニティの個々のメンバーおよびコミュニティ総体としての能力を高め、行動理念と行動指針に沿って、目的の達成に努めること
開放性
学習を阻害し、限定するような組織間、学際間の壁や立場の壁を超え、オープンでいること
適応的な自治
適応性、多様性、柔軟性とイノベーションを推進するべく、ガバナンスとそのプロセスを絶えず考え、実行、実践すること
知の成果
コミュニティで生まれた研究成果は、社会にとって最も役立つ形で利用すること
認知
概念、理論、実践に関する知的な貢献は、コミュニティの内外かに関わらず、オープンかつ公正に認めること
参画と質
研究、能力開発、実践に貢献もしくは参加し、常に最高レベルの質を目指すこと
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